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隣人と境界トラブル勃発!予防策や解決方法をADR認定「土地家屋調査士」が解説


「お隣との境界線が曖昧で、トラブルになってしまった…」

このようにお悩みの方は、決して少なくありません。境界トラブルは、日常生活に支障をきたすだけでなく、長年築き上げてきたご近所付き合いにも影を落とす可能性があります。


境界トラブルの原因は、境界標の紛失や、長年の間に生じた認識のズレなど、様々です。もしも今、境界トラブルを抱えている、あるいは将来的なトラブルを未然に防ぎたいとお考えなら、この記事をぜひ参考にしてください。土地家屋調査士の視点から、境界トラブルの予防策と解決方法をわかりやすく解説します。


参考:土地の境界紛争・境界トラブルとは?具体例や解決策を土地家屋調査士が解説します


1.隣地との境界とは?

隣地との境界線は、一体どのように決まるのでしょうか?境界線は、単なる「線」ではなく、土地の所有権や利用権に深く関わる重要なものです。この章では、境界線の種類や確認方法について詳しく解説し、境界トラブルを理解するための基礎知識を提供します。


1)土地には2種類の境界がある

土地の境界には、大きく分けて「筆界」と「所有権界」の2種類があります。


参考:政府広報オンライン 土地の境界トラブルを裁判なしで解決を図る「筆界特定制度」


①筆界
法務局に土地が初めて登録された際に定められた境界線です。分筆や合筆といった登記手続きが行われない限り、最初に定められた筆界がそのまま維持されます。筆界は土地所有者同士の合意のみでは変更できず、法的な手続きが必要です。


②所有権界
土地所有者の権利がおよぶ範囲を示す境界線です。こちらは所有者間の合意によって自由に移動させることができます。通常、筆界と所有権界は一致していますが、土地の一部を譲渡するなど何らかの変更があった際に、正しい手続きをしていないと筆界と所有権界が異なるケースが生じます。


2)境界の確認方法

境界線は、目に見える形で地面に引かれているわけではありません。そのため、様々な資料を参考にしながら確認する必要があります。主な確認方法としては、以下のものがあります。


公図 法務局で閲覧できる土地台帳に付属する地図です。土地の大まかな方位や地形、隣地との位置関係が把握できます。ただし、必ずしも正確に作成されているとは限らないため、あくまで参考程度に留めておくべきでしょう。
境界標 土地の境界を示すために設置された標識です。区画整理や道路整備が行われた地域では、自治体が境界標を設置している場合があります。
地積測量図 土地家屋調査士が筆界を明確にするために作成する図面です。法務局で閲覧できますが、すべての土地に地積測量図があるわけではありません。
登記簿謄本 土地の面積や所有者情報などが記載されています。古い時代の登記簿謄本の場合、面積が正確でない可能性もあります。



2.隣地との境界トラブルの原因

境界トラブルは、なぜ起こるのでしょうか?その原因を理解することは、トラブルの予防と解決に不可欠です。この章では、境界トラブルの主な原因を具体的に解説し、紛争に発展する可能性についても触れていきます。


■境界トラブルの原因

境界トラブルは、隣接する土地の所有者間で、境界線の位置や範囲について意見が対立することで発生します。境界線は、土地の所有権や利用権を明確にする上で非常に重要ですが、実際には不明確なまま放置されているケースが多いのが現状です。


例えば、増築や改築を行う際に、境界線の位置が問題となることがあります。また、土地の売買や相続の際にも、境界線の確認がトラブルの火種となることがあります。


具体的な原因としては、以下のようなものが挙げられます。

①境界線が不明確
境界標が設置されていない、あるいは設置されていても、経年劣化や移動によって位置が不明瞭になっている場合。

②登記記録と現況の不一致
登記記録上の境界線と、実際の土地利用状況が一致しない場合。

③境界標の紛失・移動
天災や人為的な行為によって境界標が失われたり、移動されたりした場合。

④越境・侵入
建物の軒先や庭木、塀などが境界線を越えて隣地へ侵入している場合。

⑤所有者・利用者の変更
土地の所有者や利用者が変わったことで、境界線に対する認識が異なる場合。


境界トラブルは、単なる近隣トラブルに留まらず、法的な争いに発展する可能性も秘めています。土地の所有権や利用権は、民法や不動産登記法などの法律で厳格に定められています。


しかし、法律は一般的な原則を示しているに過ぎず、個別のケースに合わせた具体的な解決策は提示していません。そのため、境界トラブルの解決には、事実関係の調査や証拠の収集、そして専門的な知識に基づいた法的判断が求められます。



3.境界トラブルの予防策

「境界トラブルは、起こってからでは遅い」

そう言っても過言ではありません。境界トラブルは、時間的・精神的・経済的な負担を強いるだけでなく、ご近所付き合いにも悪影響をおよぼす可能性があります。この章では、境界トラブルを未然に防ぐための予防策を具体的に解説し、境界標の重要性を詳しく解説します。


1)土地の境界を明確にしてトラブル防止

境界トラブルを予防する上で最も重要なのは、土地の境界を明確にすることです。境界を明確にする方法としては、塀や垣根の設置などが考えられますが、相続や宅地造成などによって、これらの目印が失われてしまうケースも少なくありません。


境界線を明確に示すためには、「境界標の設置」が最も効果的です。境界標とは、土地の境界を示すために設置される標識のことです。境界標を設置することで、境界の位置を明確に示すことができ、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。


2)境界確定は土地家屋調査士に相談

境界標を設置する際には、測量や各種手続きが必要となります。これらの手続きは専門的な知識を必要とするため、土地家屋調査士に相談することをおすすめします。土地家屋調査士は、土地の境界に関する専門家です。境界線の確定や境界標の設置、各種手続きなどを代行してくれるだけでなく、境界トラブルに関する相談にも乗ってくれます。


3)境界標の維持・管理が重要

境界標を設置したら、それで終わりではありません。境界標は、経年劣化や天災などによって、位置がずれたり、破損したりする可能性があります。そのため、定期的に境界標の状態を確認し、必要があればメンテナンスを行うことが大切です。また、隣接する土地の所有者と協力して、境界標を管理していくことも重要です。




4.境界トラブルの解決方法

境界トラブルは、早期に解決することが重要です。トラブルを放置すると、感情的な対立が深まり、解決がより困難になる可能性があります。この章では、境界トラブルの解決方法を段階的に解説し、それぞれの方法の特徴やメリット・デメリットを詳しく説明します。


1)隣人との話し合い(専門家への同席依頼を推奨)

境界トラブルを解決する上で、まず試みるべきは隣人との話し合いです。話し合いの際には、冷静に状況を説明し、互いに理解し合うことが大切です。感情的にならず、建設的な議論を心がけましょう。また、登記記録や地図、地積測量図などの資料を準備しておくと、話し合いがスムーズに進みます。


必要に応じて、土地家屋調査士に同席を依頼するのも良いでしょう。土地家屋調査士は、専門的な知識に基づいて、中立的な立場でアドバイスをしてくれます。


2)筆界特定制度を利用する

話し合いで解決できない場合は、法務局の筆界特定制度を利用する方法があります。筆界特定制度とは、土地家屋調査士が筆界調査委員として、現地調査や関係資料の調査を行い、筆界の位置を特定する制度です。筆界特定制度を利用することで、公的機関の判断によって筆界を確定できます。


参考:法務省「筆界特定制度」


3)ADR境界問題相談センターを利用する

筆界特定制度でも解決に至らない場合は、ADR境界問題相談センターに相談する方法があります。

ADR境界問題相談センターは、日本土地家屋調査士連合会が設置している相談機関です。専門家が中立的な立場で当事者間の調停を行い、 友好的な解決を目指します。


参考:日本土地家屋調査士連合会「ADR境界問題相談センター」


4)裁判で解決

上記の方法でも解決できない場合は、最終手段として裁判を起こすことになります。裁判では、裁判所が証拠に基づいて判断を下します。ただし、裁判は時間と費用がかかるため、できる限り裁判以外の方法で解決することが望ましいです。



5.境界トラブルの予防・解決は「ADR認定土地家屋調査士」臼井事務所へ相談

境界トラブルは、専門的な知識が必要となるケースが多く、当事者同士で解決しようとしても、かえって状況を悪化させてしまう可能性も懸念されます。このようなトラブルに直面した場合、まずは土地家屋調査士にご相談ください。土地家屋調査士は、土地の境界に関する専門家であり、境界トラブルの予防や解決に豊富な知識と経験を有しています。


弊所「土地家屋調査士法人 臼井事務所」には、「ADR認定土地家屋調査士」も在籍しており、トータル的な境界問題解決をサポートしています。20年以上にわたる豊富な実務経験と実績に基づき、お一人ひとりに最適な解決策をご提案いたします。弁護士や司法書士など専門家ネットワークも構築しており、土地のことなら何でもご相談いただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください。


参考:お隣との境界を明確にしたいときの方法や必要になるケース、トラブルの対処方法


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