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登記がない古い建物(未登記物件)は売却できる? 土地家屋調査士が教える解決策

親や祖父母から引き継いだ実家を売却しようとした際、その建物が登記されていない未登記物件だと判明することがあります。しかし、登記がないままでは売却活動がスムーズに進まず、思わぬトラブルに発展しかねません。


そこで、この記事では、未登記物件を売却する方法や潜んでいるリスク、解決に向けた具体的な手続きを専門家が詳しく解説します。


参考:土地家屋調査士法人 臼井事務所「土地・建物ブログ」


目次

1.未登記の古い建物でも売却は可能?

そもそも登記がない建物であっても、法律上の売買契約自体は成立します。ただし、一般的な不動産取引の現場では、登記がない状態での売却には非常に厳しい制約が課されるのが現実です。


1)結論:未登記のままでも売却は可能だが「大きな制約」がある

結論から申し上げますと、未登記物件をそのまま売却することは可能ですが、買主が見つかりにくいという致命的な欠点があります。不動産取引において、登記は「その建物の所有者が誰であるか」を公的に証明する唯一の手段だからです。


登記がない状態では、買主が自分の所有権を第三者に主張できません。そのため、通常の仲介売却では、引き渡しまでに登記を完了させることが契約の条件とされるケースがほとんどです。


2)なぜ「未登記」の建物が存在するのか?よくある原因

古い建物に未登記が多い理由として、主に以下の3点が挙げられます。

・現金で建築したため、銀行融資(抵当権設定)の必要がなく、登記を失念していた
・大昔に建てられた建物で、当時の所有者が登記の重要性を認識していなかった
・増築を繰り返したが、その部分の変更登記を行わずに放置していた


かつての農村部や古い住宅街では、近隣との信頼関係だけで建物が維持されていた時代もあり、現代のような厳格な登記意識が希薄だったことも背景にあります。


3)自分の物件が未登記かどうかを確認する方法

自分の所有する建物が登記されているかどうかは、法務局で「登記事項証明書」を取得することで確認できます。もし登記がなければ、証明書自体が存在しません。また、毎年送られてくる「固定資産税の納税通知書」を確認するのも有効です。


課税明細書の家屋番号欄が空欄であったり、「家屋番号なし」と記載されていたりする場合は、未登記である可能性が極めて高いと判断できます。さらに詳細を知りたい場合は、役所で「名寄帳」を閲覧し、未登記家屋として登録されていないかを確認しましょう。



2.知らないと怖い!未登記物件をそのまま売却するデメリットとリスク

未登記の状態を放置して売却を進めようとすると、売主と買主の双方にとって多くのリスクが生じます。


1)買主が住宅ローンを組めないため、買い手が極端に限定される

最も大きな障害は、買主が金融機関から融資を受けられない点にあります。銀行は融資の際、対象の不動産に抵当権を設定しますが、登記がない建物には抵当権を設定できません。


結果として、購入者は「現金一括で購入できる人」に限定されてしまいます。ターゲット層が狭まるため、売却価格を大幅に下げざるを得ない状況に陥りやすくなります。


2)不動産登記法に抵触し、10万円以下の過料に処される可能性がある

不動産登記法では、建物を新築してから1ヶ月以内に「建物表題登記」を申請することが義務付けられています。この義務を怠った場合、10万円以下の過料に処される可能性がある旨が法律に明記されています。


実際に罰則が適用されるケースは稀ですが、法律違反の状態であることに変わりはなく、コンプライアンスを重視する現代の取引では敬遠される要因となります。


3)相続が発生している場合、権利関係の整理が非常に困難になる

未登記のまま何代も相続が繰り返されている場合、事態はさらに複雑化します。建物の所有権を証明するためには、家系図をたどって全ての相続人を特定し、遺産分割協議書を作成しなければなりません。


時間が経過すればするほど、関係者の数が増え、連絡が取れない親族が出てくるなど、登記の手続き自体が不可能に近い状態になる恐れがあります。


4)売却後のトラブル(契約不適合責任)を問われるリスクが高まる

未登記物件は、建物の完成時期や構造が公的に証明されていないため、売買契約書に記載した内容と現況が食い違うリスクをはらんでいます。売却後に「聞いていた面積と違う」「増築部分の所有権が不明確だ」といったクレームを受け、損害賠償や契約解除を求められる可能性も否定できません。



3.土地家屋調査士が伝授!売却をスムーズにする「建物表題登記」の進め方

未登記を解消し、スムーズな売却を実現するためには「建物表題登記」が必要です。この手続きは、不動産の物理的状況を登記簿に記載するもので、土地家屋調査士の専門領域です。


1)「建物表題登記」とは?未登記を解消するための第一歩

建物表題登記とは、建物の所在、種類、構造、床面積などを明らかにする登記です。これを行うことで初めて、法務局にその建物の登記記録が作成されます。表題登記が完了した後に、司法書士が「所有権保存登記」を行うことで、正式に第三者へ所有権を主張できる状態が整います。


2)古い建物で「建築確認通知書」がない場合の対処法

登記の際には、通常「建築確認通知書」や「検査済証」が必要となりますが、数十年前の建物ではこれらの書類を紛失しているケースが多々あります。その場合は、以下のような書類を代用して所有権を証明します。


代用できる書類の例内容の説明
固定資産税の評価証明書市町村が把握している所有者情報
工事完了引渡証明書施工業者が発行した書面(実印と印鑑証明書が必要)
電気・ガス・水道の領収書居住の実態を示す公的な記録
建物賃貸借契約書その建物を貸し出していた記録


これらの書類を収集し、土地家屋調査士が「上申書」を作成することで、書類が不足していても登記を通せる可能性があります。


3)土地家屋調査士による現地調査と図面作成のプロセス

手続きを依頼すると、まず土地家屋調査士が現地に伺い、建物の形状や面積を精密に測量します。隣地との境界や建物の配置を確認し、正確な「各階平面図」と「建物図面」を作成します。この調査により、未登記だった建物の正確なスペックが数値化され、信頼性の高い登記情報が完成するのです。


4)登記完了までにかかる期間と費用の目安

依頼から登記完了までにかかる期間は、概ね2週間から1ヶ月程度です。費用は建物の規模や複雑さ、必要書類の収集状況により異なりますが、一般的な一戸建てであれば8万円から15万円程度が相場となります。相続が絡む場合や書類が一切ない場合は、追加の調査費用が発生することもあります。



4.【ケース別】未登記物件を賢く手放すための最適な解決策

物件の状態や売却方針によって、最適な解決策は異なります。ご自身の状況に合わせて判断してください。


1)建物を壊して「更地」として売却する場合の注意点

建物が老朽化しており、解体して土地として売却する場合は、必ずしも建物表題登記を行う必要はありません。ただし、解体後に「建物滅失登記」を行う必要があります。


未登記の建物を解体した際は、法務局への届出ではなく、市役所の資産税課等へ「家屋取り壊し届」等を提出し、翌年からの固定資産税がかからないように手続きすることが重要です。


参考:鎌倉市「取り壊し家屋申出書」


2)建物を残して「中古住宅」として売却する場合のステップ

リノベーション素材として、あるいはそのまま居住用として売却する場合は、前述の建物表題登記が必須です。この順序を守ることで、買主は安心して住宅ローンを申込むことができ、早期の成約に繋がります。


ステップ1)土地家屋調査士による測量と表題登記の完了
ステップ2)司法書士による所有権保存登記の完了
ステップ3)媒介契約の締結と売却活動の開始


3)「未登記の増築部分」がある場合の解消方法

母屋は登記されているが、後から建て増しした部分だけが未登記というケースも多いです。この場合は「建物表題部変更登記」を行い、登記簿上の床面積を現況に合わせて修正します。増築部分をそのままにしておくと、銀行融資の審査で「現況と登記が一致しない」と指摘され、融資が否決される原因になります。


4)自治体への「家屋所有者変更届」と登記の関係

市役所などの税務課で管理している「課税台帳」の所有者を変更する手続きと、法務局の「登記」は別物です。


役所での名義変更だけを行っても、法的な所有権を証明したことにはなりません。売却を検討しているのであれば、税務上の手続きだけでなく、法務局での正式な登記手続きを優先させることが、トラブル回避の近道です。



5.未登記物件の売却は土地家屋調査士法人 臼井事務所へ

未登記物件の扱いに不安を感じている方は、ぜひ当事務所へご相談ください。古い建物で書類が残っていないケースや、複雑な増築が繰り返された物件でも、豊富な経験を持つ土地家屋調査士が現地調査から図面作成、登記申請まで一貫してサポートいたします。


売却を円滑に進めるための最適な解決策をご提案し、大切な資産の価値を最大限に引き出すお手伝いをさせていただきます。まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。


土地家屋調査士による確かな技術で、お客様の不動産売却を全力でバックアップいたします。


参考:土地家屋調査士法人 臼井事務所ホームページ


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