土地を分割して売りたいとき!分筆に必要な手続きや境界確定測量の流れについて解説
「土地を相続したものの、広すぎて管理が大変」
「土地の一部を売却して現金化したい」
など、土地の所有方法を見直したいとお考えの方は多くいらっしゃいます。
土地を分割して売却するには、法務局で「分筆登記」を行う必要があります。分筆登記とは、1つの土地を、複数の土地に分ける手続きのことです。この手続きには、測量や境界の確定など専門的な知識が必要となるため、専門家への依頼が不可欠です。
この記事では、土地の分筆登記と境界確定測量について詳しく解説します。土地を分割して売却をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
参考:土地家屋調査士が取り扱う【登記の種類】について解説します!
目次
1.土地を分割して売却する場合には「分筆」登記が必要
土地を分割して売却するためには、まず「分筆登記」を行う必要があります。分筆登記とは、1筆の土地を、2筆以上の土地に分ける登記手続きのことです。
例えば、1,000㎡の土地を500㎡ずつに分けて売却したい場合、分筆登記によって1,000㎡の土地を、2筆の500㎡の土地に分けます。分筆登記を行うことで、それぞれの土地に明確な境界と面積が設定され、個別に売買や賃貸などが可能になります。
分筆登記は、土地の所有者自身で行うこともできますが、手続きが複雑で専門的な知識が必要となるため、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
2.土地を分筆するには境界確定が必要
分筆登記を行うためには、分割する土地の境界を明確に確定させる必要があります。境界が確定していない土地は、面積や形状が曖昧なため、正確な分筆登記を行うことができません。
境界が確定しているかどうかの確認は、法務局で「公図」や「地積測量図」などの資料を確認することで行います。これらの資料に境界が明記されていれば、境界は確定していると考えられますが、古い資料では境界が不明確な場合や、境界標が設置されていない場合もあります。
境界が未確定の場合や不明確な場合は、境界確定測量を行う必要があります。境界確定測量とは、隣接する土地の所有者の、立会いのもと、土地の境界を正確に測定し、境界標を設置する作業となります。
3.境界確定測量の流れ 7ステップ
境界確定測量は、土地の境界を明確にするための重要な手続きです。専門家である土地家屋調査士が、正確な測量と綿密な調査に基づき、境界を確定します。
1)土地家屋調査士に依頼する
境界確定測量を検討する際には、まず土地家屋調査士に依頼するところから始まります。土地家屋調査士は、土地の境界に関する専門家であり、豊富な知識と経験に基づいて測量や登記などの手続きを代行してくれます。
依頼する際には、土地の所有権を証明する書類(登記済証や権利証など)や、法務局で取得した公図、地積測量図などの資料を準備しておくとスムーズです。土地家屋調査士は、これらの資料を基に、土地の状況や境界に関する情報を把握します。また、依頼者からの要望や疑問点などを丁寧にヒアリングし、測量計画を立案します。
2)法務局や役所での調査
土地家屋調査士は、依頼を受けた土地について、法務局や役所、そして現地などで綿密な調査を行います。
法務局では、登記記録や地図などの資料を収集し、土地の権利関係や過去の境界に関する情報を確認します。これにより、土地所有権の変遷や過去の測量記録などを把握できます。
役所では、都市計画や道路に関する情報などを収集します。これらの情報は、境界確定測量を行う上で重要な要素となります。例えば、道路の境界線が土地の境界に影響を与える場合があるため、道路に関する情報を確認することは不可欠です。
現地では、境界標の有無や、隣接地との境界の状況などを確認します。境界標は、境界の位置を示す重要な標識です。境界標の有無や状態を確認することで、境界の確定作業をスムーズに進めることができます。
3)現況測量
現地調査で得られた情報に基づき、境界の推定位置を確定した後、現況測量を行います。現況測量では最新の測量技術を用いて、土地の境界や形状、面積などを正確に測定し、これらのデータは後の境界確定作業や登記申請に利用されます。
4)境界確認作業・現地での立会
現況測量の結果に基づき、隣接する土地の所有者と境界確認作業を行います。この作業は、境界確定測量において非常に重要なプロセスです。
土地家屋調査士が、境界の推定位置を分かりやすく説明し、隣接する土地の所有者と境界について協議します。疑問点や意見がある場合は、この場で解決できるように努めます。
境界確認作業の結果、隣接地の所有者との間で合意が得られれば、境界の位置に境界標を設置します。境界標は、境界を明確に示すための重要な標識であり、将来的な境界紛争を予防する役割を果たします。
参考:政府広報オンライン 土地の境界トラブルを裁判なしで解決を図る「筆界特定制度」
5)確定測量を実施
立会いによって境界が確定したら、確定測量を実施します。確定測量では、確定した境界に基づき、土地の面積を正確に測定し、分筆後の各土地の面積を確定します。
6)筆界確認書を作成
確定測量の結果に基づき、筆界確認書を作成します。筆界確認書は、境界確定測量の結果をまとめた書類であり、分筆登記の際に必要な書類の1つです。筆界確認書には、境界の位置、境界標の種類、隣接地所有者の署名などが記載されます。
7)登記申請
境界確定測量と筆界確認書などの作成が完了したら、分筆登記の申請手続きを行います。登記申請に必要な書類を準備し、法務局に提出し、審査を経て分筆登記が完了します。
このように、境界確定測量は、複数の段階を経て行われる複雑な手続きです。土地家屋調査士は、専門的な知識と技術を駆使し、正確な測量と円滑なコミュニケーションによって、境界を確定します。
4.分筆&境界確定測量を土地家屋調査士に依頼する3つのメリット
土地の分筆登記や境界確定測量を検討する際、誰に依頼すれば良いのか迷う方もいるかもしれません。測量士と土地家屋調査士、どちらも土地の測量に携わる専門家ですが、その役割には明確な違いがあります。そして、土地家屋調査士を選ぶメリットは大きく3つあります。
土地家屋調査士と測量士の違い
測量士は、土地の測量や図面作成のプロフェッショナルです。しかし、あくまで測量の専門家であり、法務局への登記申請などは行うことができません。
一方、土地家屋調査士は、土地に関するスペシャリストです。測量はもちろんのこと「境界確定、分筆登記、土地地積更正登記」など、土地の表示に関する登記全般を扱うことができます。
メリット1)手続きの効率性
1つ目は、手続きの効率性です。測量士に測量を依頼し、その後、別途土地家屋調査士に登記手続きを依頼する場合、手続きが煩雑になり、時間も費用も余分にかかってしまう可能性があります。土地家屋調査士に依頼すれば、測量から登記までワンストップで対応してもらえるため、時間と費用の節約につながります。
メリット2)専門性の高さ
2つ目は、専門性の高さです。土地家屋調査士は、土地の境界に関する法律や登記制度に精通しており、豊富な経験と知識に基づいて、的確なアドバイスやサポートを提供してくれます。境界問題や登記手続きに関する疑問や不安にも、専門家として適切に対応してくれるため、安心して任せることができます。
メリット3)トラブル回避
3つ目は、トラブル回避です。土地の境界は、所有者間のトラブルに発展しやすいデリケートな問題です。土地家屋調査士は、境界確定の専門家として、隣接地所有者との交渉や調整を円滑に進め、境界紛争を未然に防ぐための対策を講じてくれます。
5.分筆や境界確定測量は「土地家屋調査士法人 臼井事務所」にご相談ください
土地を分割して売却するには、分筆登記と境界確定測量が必要です。土地家屋調査士は、測量から登記までを一貫して行うことができる専門家であり、土地の境界に関するあらゆる問題を解決へと導きます。
土地家屋調査士法人 臼井事務所では、経験豊富なスタッフが、お客様一人ひとりのご要望に寄り添い、丁寧にご対応いたします。司法書士など他の専門家ともネットワークも構築しており、土地や建物に関するトータル的なサポートが可能です。 土地の有効活用や資産管理、相続対策など、土地に関するお悩みは、土地家屋調査士法人 臼井事務所へお気軽にお問い合わせください。 |
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