知らないと損!地積更正登記で固定資産税を節税できる可能性とは?
不動産を所有されている方々にとって、毎年納める固定資産税は決して軽視できない負担でしょう。「もしかしたら、この税金、払いすぎているのではないか?」と感じたことはありませんか。実は、登記簿上の地積と実際の地積に差異がある場合、必要以上に固定資産税を支払っている可能性があるのです。
そこで本記事では、そのような疑問や不安を解消し、固定資産税の節税につながる可能性を秘めた「地積更正登記」について解説いたします。ご自身の土地が対象になるかを知り、賢く節税するための第一歩をここから踏み出していきましょう。
目次
1. そもそも「地積更正登記」とは?
地積更正登記とは、登記簿に記載されている土地の面積(地積)を、実際に測量した正確な面積に訂正するための登記手続きを指します。土地の売買や相続などで所有権が移転する際には、その土地の面積が重要な情報となりますが、現在の登記簿に記載されている面積が必ずしも正確であるとは限りません。
特に昔に作成された登記簿においては、現代の測量技術とは異なる方法で測量されたため、実際の面積と登記簿上の面積に誤差が生じているケースが少なくありません。この誤差を解消し、公的な記録である登記簿上の面積を現況に合致させることで、土地の正しい情報を明確にする役割を担うのが地積更正登記です。この登記によって、土地の真の価値が適切に反映され、将来的なトラブルを未然に防ぐことにもつながる重要な手続きとなります。
地積更正登記は、不動産の表示に関する登記であり、土地家屋調査士の独占業務です。ご自分で行うのは問題ありませんが、土地家屋調査士以外が業務として行うことはできません。

2. あなたの土地は適正な面積?
ご自身の土地が、登記簿に記載された面積と実際の面積が一致していると、確信を持って言える方は多くはないかもしれません。もしかしたら、長年にわたって登記簿上の面積に疑問を抱くことなく、固定資産税を支払い続けている可能性も考えられます。
1)登記簿上の面積と実際の面積が異なるケースとは?
登記簿上の面積と実際の面積が異なる主な理由としては、まず、過去の測量技術が未熟であったことが挙げられます。
明治時代に地租改正事業の一環として行われた測量は、現代のような高精度な測量機器や技術が存在せず、非常に大まかな方法で実施されたため、「縄伸び」や「縄縮み」と呼ばれる実際の面積との乖離が生じやすい状況でした。例えば縄伸びとは、実際の面積よりも、登記簿上の面積の方が大きいことを指し、縄縮みはその逆です。
また、過去に行われた分筆(土地を複数の筆に分けること)や合筆(複数の土地を1つにまとめること)の際に、測量技術や手続きの不備から誤差が蓄積されてしまったケースも存在します。
2)なぜ正確な面積が重要なのか?
土地の正確な面積を把握することは、単なる数字の問題にとどまりません。
第1に、不動産取引における正確性の確保という観点から非常に重要です。土地を売買する際には、面積が価格を決定する重要な要素となります。登記簿上の面積と実際の面積が異なると、買主は購入後に不測の損害を被る可能性があり、売主も取引が円滑に進まないリスクを抱えることになります。
次に、隣地との境界紛争の予防という点も挙げられます。境界が曖昧なままだと、隣接する土地の所有者との間で、塀の設置や枝の越境など、些細なことから大きなトラブルに発展する恐れがあります。正確な面積を明確にすることで、将来的な紛争のリスクを低減し、隣人との良好な関係を維持できるでしょう。
そして最も直接的な理由として、固定資産税の課税根拠が挙げられます。固定資産税は土地の評価額に基づいて算出されるため、面積が不正確であれば、本来よりも高い税金を支払ってしまう可能性があるのです。これらの理由から、土地の正確な面積を把握し、登記簿に反映させることは、お客様の財産を守るうえで極めて重要な意味を持つといえるでしょう。

3. なぜ地積更正登記で固定資産税が節税できるのか?
毎年、当たり前のように支払っている固定資産税ですが、その計算根拠を具体的に把握されている方は少ないのが実状です。そして前述までのように、知らぬ間に税金を多く払いすぎているのは、非常に残念としか言えません。
1)固定資産税の算出方法と地積の関係
固定資産税は、固定資産評価額に基づいて算出されます。この評価額は、土地の面積に単価を乗じて算出されることが一般的です。つまり、登記簿上の土地の面積が大きければ大きいほど、評価額もそれに比例して高くなり、結果として固定資産税の額も増大する構造になっているのです。
言い換えれば、登記簿に記載されている面積が実際の面積よりも大きい場合、お客様は本来支払うべき税額よりも多くの固定資産税を負担していることになります。
2)登記簿面積が「縄伸び」しているケースでの節税効果
もし、土地の登記簿上の面積が、実際の測量面積よりも大きい「縄伸び」の状態であった場合、地積更正登記を行うことで固定資産税の節税につながる可能性が高まります。
例えば、登記簿上は100坪と記載されている土地が、精密な測量によって90坪であることが判明した場合、地積更正登記を行うことで、登記簿上の面積が90坪に訂正されます。これにより、固定資産評価額が適正な90坪分の評価に下がり、結果として固定資産税の納税額も軽減されることになります。
3)実際の面積の方が大きい場合は要注意
ただし、登記簿面積よりも実際の面積の方が大きい「縄縮み」の場合は、地積更正登記を行うことで固定資産評価額が上がり、固定資産税が増額する可能性もありますので注意が必要です。この場合には、さまざまなパターンが想定されるため、専門家との相談が不可欠となるでしょう。

4. あなたの土地は対象?地積更正登記が必要となるケース
ご自身の土地が地積更正登記の対象となるかどうか、どのように判断すれば良いのでしょうか。ここでは、地積更正登記の必要性が高い具体的なケースについて説明します。
1)購入・相続した土地の測量図が古いまたは存在しない
長年にわたって所有されている土地や、近年購入・相続された土地において、測量図が非常に古い、あるいはそもそも測量図が存在しないといった状況は珍しくありません。
特に、明治時代に作成された公図(旧図)しかなく、現在の土地の形状や利用状況と大きく乖離している場合は、登記簿上の面積が不正確である可能性が極めて高いといえます。このようなケースでは正確な測量を行い、地積更正登記を申請することで、登記簿上の面積を現実に合致させ、後のトラブルを防ぐことができます。
2)隣地との境界が曖昧でトラブルの可能性がある
土地の境界が不明確であることは、隣地との間で様々なトラブルの元となり得ます。例えば、塀の設置や樹木の越境、あるいは通路の利用権などを巡って、隣接する土地の所有者と意見の相違が生じることは少なくありません。
このような場合、「境界確定測量」を行うことで、隣地との境界を明確にできますが、この測量を進める中で登記簿に記載されている地積と実際の測量結果に誤差が判明することがあるのです。この誤差を放置すると、将来的に売却や再開発を検討する際に問題となるため、地積更正登記を検討するべきでしょう。
3)土地を売却・活用する予定がある
ご自身の土地を将来的に売却したり、有効活用を検討したりする場合、土地の正確な地積は極めて重要な情報となります。正確な地積が登記簿に反映されていれば、買主は安心して取引を進めることができ、売主もスムーズな売却を実現できます。
特に、投資目的で土地を購入する買主にとって、登記簿に記載された情報が正確であることは、その土地の価値を判断するうえで不可欠な要素です。また、土地を担保に融資を受ける際や、建物の建築計画を立てる際にも、正確な地積情報は必須となります。売却や活用を考えているのであれば、事前に地積更正登記を済ませておくことが賢明な判断といえるでしょう。
4)固定資産税の通知書を見て「面積がおかしい」と感じた
毎年送られてくる固定資産税の納税通知書には、ご自身の土地の登記簿地積が記載されています。もしこの通知書に記載されている面積が、ご自身の認識している土地の広さや、過去に聞いた情報と大きく異なっていると感じたのであれば、地積更正登記を検討する良い機会かもしれません。
このような場合は、市町村役場で閲覧できる各種書類で、より詳細な情報を確認してみることをお勧めします。少しでも疑問を感じたら、専門家である土地家屋調査士にご相談いただき、現状を正確に把握することが重要となります。

5. 地積に不安がある場合には土地家屋調査士へ
これまでご説明してきたように、地積更正登記は単に土地の面積を訂正するだけでなく、固定資産税の節税や将来的なトラブルの回避、そして何よりもお客様の大切な資産価値を守るうえで非常に重要な手続きです。
土地の登記簿上の面積と現況に不安を感じる方、あるいは境界問題でお困りの方は、ぜひ土地家屋調査士法人 臼井事務所へご相談ください。弊所は、土地や建物の専門家として、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なご提案をさせていただきます。 まずは皆さまの疑問やお悩みをお聞かせください。お客様の大切な不動産に関する「安心」を、私たち土地家屋調査士法人 臼井事務所が全力で支えてまいります。 |

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