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増築登記しないとどうなる?未登記のリスクやデメリットについて解説


建物を増築された皆様、おめでとうございます。新たな空間での生活は、きっと豊かなものとなるでしょう。しかし、増築という喜ばしい変化には、法的な手続きが伴うことをご存知でしょうか?


「増築登記」という言葉を聞いたことはあっても、その重要性や手続きについて詳しく理解している方は、意外と少ないかもしれません。「まあ、いっか」「そのうちで大丈夫だろう」と安易に考えて放置してしまうと、将来的に様々なトラブルに巻き込まれる可能性があります。


そこで本記事では、増築登記を怠った場合に生じるリスクやデメリットについて、具体的な事例を交えながら詳しく解説いたします。後悔しないためにも、ぜひ最後までお読みいただき、増築登記の重要性を再認識してください。


参考:弊所ブログ「家を新築、増築、解体したときに必要な登記とは?すべて土地家屋調査士にお任せください!」


1.多くの人が疑問に思う「増築登記しないとどうなるの?」

建物を増築された方の中には、「登記って本当に必要なの?」「手続きが面倒くさそう」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに、増築直後は新しい生活への期待感でいっぱいになり、煩雑な手続きは後回しにしてしまいがちです。


また、「誰にも迷惑をかけていないから大丈夫だろう」という認識の方もいるかもしれません。しかし、増築登記をせずに放置することは、ご自身の財産である建物の権利を不安定なものにするだけでなく、将来的に様々な不利益をもたらす可能性があるのです。本章では、多くの方が抱く疑問に寄り添いながら、未登記のまま放置することの現状とその問題点について解説します。



2. なぜ増築したら登記が必要なの?法律的な根拠を解説

建物を新築したり、増築したりした場合に登記が必要となるのは、日本の法律で定められているからです。ここでは、その根拠となる不動産登記法の目的、建物の表示登記の義務、そして増築登記がどのような法的意味を持つのかについて解説します。


1)不動産登記法の目的

不動産登記法は、不動産の権利に関する事項を登記簿に記載し、これを一般に公開することで、取引の安全と円滑化を図ることを目的としています。登記簿に記載された情報は、その不動産の権利関係を公に示す公的な記録となり、第三者に対して自己の権利を主張するための重要な根拠となるのです。


2)建物の表示登記の義務

次に、建物を新たに建築した場合や、建物の種類・構造・床面積などに変更があった場合には、建物の表示登記を行う義務があります(不動産登記法第47条)。


表示登記とは、建物の物理的な状況を登記簿に記録する手続きであり、建物の所在・地番・種類・構造・床面積などが記載されます。この表示登記がされていない建物は、登記簿上に存在しないことになり、所有者として法的に保護されない状態となってしまいます


参考:e-Gov法令検索「不動産登記法 第47条(建物の表題登記の申請)など」


3)増築登記の法的根拠

そして、増築登記は、既存の建物に増築・リフォームが行われ、その結果として建物の種類や構造・床面積などに変更が生じた場合に行う表示変更登記の一種です。増築によって建物の物理的な状況が変化したにもかかわらず、登記簿の内容が古いままになっていると、実際の建物と登記簿の内容が一致せず、様々な不都合が生じることになります。したがって、増築を行った際には、速やかにその事実を登記簿に反映させる必要があるのです。



3. 放置するとこんなデメリットが!具体的な事例を紹介

増築登記をせずに放置した場合、一体どのような不都合が生じるのでしょうか。ここでは、具体的な事例を交えながら、未登記状態がもたらす様々なデメリットについて解説します。「まさか、そんなことになるなんて…」と後悔しないためにも、しっかりと確認しておきましょう。


1)売却したくても売れない?

建物を売却しようとした際に、増築部分が未登記であると、買い手が見つかりにくくなる、あるいは大幅な価格交渉を強いられる可能性があります。


買い手が見つかりにくい理由

買い手は、購入する不動産の権利関係が明確であることを重視します。未登記の増築部分が存在する場合、その部分の権利関係が曖昧になり、将来的なトラブルのリスクを懸念するため、購入をためらうことがあります。


また、住宅ローンを利用して購入を検討している場合、金融機関は担保評価を正確に行うために、登記簿と実際の建物が一致していることを求めます。未登記部分があると、担保評価が困難になり、融資が下りない可能性もあるのです。


価格交渉での不利

もし、買い手がついたとしても、未登記部分の存在を理由に大幅な価格交渉をされる可能性が高くなります。買い手は、未登記部分を登記するための費用や手間、将来的なリスクを考慮して、低い価格を提示してくるでしょう。結果として、本来得られるはずの売却益を大きく損なうことになりかねません。


2)相続で揉める原因に?

相続が発生した際、増築部分が未登記であると、遺産分割協議が複雑化し、相続人間で争いが生じる原因となることがあります


遺産分割協議の複雑化

登記簿に記載されていない建物部分は、法的には誰の所有物であるかが明確ではありません。そのため、相続財産の範囲や評価を巡って、相続人間で意見が対立しやすくなります。また、未登記部分の登記手続きを誰が行うのか、その費用を誰が負担するのかといった問題も発生し、遺産分割協議が長期化する可能性があります。


登記名義の混乱

たとえ遺産分割協議がまとまったとしても、未登記の増築部分を誰の名義で登記するのかという新たな問題が生じます。相続手続きとは別に、増築部分の登記手続きを行う必要があり、その手間や費用も相続人の負担となります。最悪の場合、相続手続きが完了した後も、未登記の状態が解消されず、将来の世代にまで問題を先送りしてしまうことにもなりかねません。


3)いつの間にか罰金?

建物の表示登記は、建物の新築や増築があった日から1ヶ月以内に行うことが義務付けられています(不動産登記法第51条)。正当な理由なくこの期間内に登記を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります(不動産登記法第164条)


過料の規定と事例

実際に過料が科されるケースは稀ですが、法律で定められた義務を怠っていることには変わりありません。特に、悪質なケースや、行政機関からの再三の指導にもかかわらず登記を放置しているような場合には、過料が科される可能性も否定できません。また、過料だけでなく、登記を怠っている状態が長期間続くと、行政機関からの指導や催告が繰り返され精神的な負担となることもあります。


4)建て替えたいのに建て替えられない?

将来的に建物を建て替えたいと考えた場合、増築部分が未登記であると、建築確認申請がスムーズに進まない可能性があります。また、未登記の状態によっては、建て替え自体が不可能になるケースも存在します。


建築基準法との関係

建物を新築したり、増築したりする際には、建築基準法などの法令に基づいた建築計画であることを確認する建築確認申請を行う必要があります。この申請の際、登記簿謄本などの書類を提出する必要がありますが、未登記の増築部分があると、登記簿と実際の建物との整合性が取れず、申請が受理されないことがあります。


再建築不可となるケース

特に、増築によって建物の容積率や建ぺい率が建築基準法に適合しなくなった場合や、接道義務を満たさなくなった場合には、将来的に建物の建て替えが認められない「再建築不可」となる可能性があります。これは、ご自身の財産価値を大きく損なうだけでなく、将来の住まいに関する計画を大きく狂わせる要因となります。



4. 今すぐ確認!あなたの建物は大丈夫?まずは未登記をチェック

ご自身の建物が増築登記されているかどうかを確認することは、将来のリスクを回避するための第一歩です。ここでは、簡単にできる確認方法と、専門家への相談を検討すべきタイミングについて解説します。


1)増築した時期

まず、ご自身がいつ頃建物を増築したのかを思い出してみてください。もし増築後、長期間が経過しているにもかかわらず、登記手続きを行った覚えがない場合は、未登記である可能性が高いと言えます。


2)登記簿謄本の確認

最も確実な確認方法は、登記簿謄本(全部事項証明書)を取得して内容を確認することです。登記簿謄本には、建物の所在・地番・種類・構造・床面積などが記載されています。増築部分が登記されていれば、その内容が反映されているはずです。


登記簿謄本は、管轄の法務局の窓口で申請するか、オンラインでの請求も可能です。もし、登記簿謄本の内容が、増築後の建物の状況と異なっている場合は、未登記である可能性が高いと考えられます。


3)土地家屋調査士など専門家への相談のタイミング

ご自身で確認した結果、未登記の可能性がある場合や、登記簿謄本の見方がよくわからない場合は、速やかに土地家屋調査士などの専門家に相談することをおすすめします。土地家屋調査士は、登記簿謄本の確認から、未登記部分の調査・測量そして表題登記申請の手続きまで、全てをサポートしてくれます。


また、過去の増築に関する資料が見当たらない場合でも、土地家屋調査士が調査を行ってくれるため安心です。早期に相談することで、問題が複雑化する前に適切な対応をとることができ、時間や費用の節約にも繋がります。



5. 専門家からのアドバイス!後悔しないための第一歩

増築登記は、単なる法的な手続きではなく、ご自身の財産である建物を守り、将来的なトラブルを回避するための重要な手段です。未登記のまま放置することは、様々なリスクやデメリットを招き、後悔する結果となる可能性があります。


土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記の専門家として、皆様の建物の状況を正確に把握し、適切な登記手続きをサポートいたします。増築された建物の登記手続きはもちろんのこと、土地建物に関する様々な疑問や不安にも丁寧にお答えいたします。


もし、ご自身の建物について「増築したけれど登記はどうなっているのだろう?」「登記簿謄本の見方がわからない」「手続きが複雑そうで不安だ」といったお悩みをお持ちでしたら、どうぞお気軽にご相談ください。


土地家屋調査士法人「臼井事務所」は、地域の皆様の不動産に関するお悩みに寄り添い、迅速かつ丁寧なサービスを提供することをお約束いたします。初回相談は無料ですので、どうぞ安心してご連絡ください。皆様の安心で豊かな暮らしをサポートさせていただきます。


参考:臼井事務所「お問い合わせ」

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